コラム>杖道伝道者の心意気


更新:2021年1月

杖道伝道者の「心意気」          

  夢想館館長 横尾正和

 東京剣連だより第89号 2021年1 月発行

 

 ここ数年、私はことある毎に「杖道」の存在を世の人々に説いて回る伝道者のような生き方をしている。四十の手習いで始めた杖道がいつしかライフワークになるとは不思議なものである。最近では病が高じ、「浄土真宗」ならぬ「杖道真宗」の布教活動などと洒落を飛ばし、更に「そんな宗派は全く知んらん(親鸞)」などとオチまでつけて周囲の人々を笑わせている。

 

 さて、この度は、五年前に掲載された「一本の杖が地域活動に発展」のその後について主な活動実績を拾い上げてみた。

 

 先ず報告すべきは道場歌「夢想館の心意気」の誕生であろう。

 

  一、己の夢を杖一筋に 賭けた命を府中の地で

    今に伝わる杖の道 わが身を磨いて世に残す

    神道夢想の心と技を やるぞ夢想館 心意気

 

  二、己に克たねば他人には勝てぬ 日々の稽古を積み上げろ

    千を鍛とし万を錬 わが身を磨いて世に残す

    神道夢想の心と技を これぞ夢想館 心意気

 

  三、己が構えた杖先に 鍛えた心がにじみ出る

    一度決めた杖の道 わが身を磨いて世に残す

    神道夢想の心と技を 進むぞ夢想館 心意気

 

 次に報告すべきは、杖道中興の祖で全国制定形杖道の生みの親、故「清水隆次」先生の命日の夢想館有志による墓参会である。掃除をし、花や線香を供え、お参りした後、各自墓石に手を当て、先生からオーラをもらい、全員で道場歌を斉唱した後、近くで懇親会を行い、楽しい時を過ごしている。

 

 最後に特筆すべき報告として、後期高齢者で視力障がいのある会員が、長年の稽古の末に一級に合格し、続いて初段に挑戦し合格したことである。本人の杖道に対する情熱が相方を感動させ、二人で勝ち取った成果であった。これは、杖道がすべての人々に対し、いかに開かれた魅力あるものであるかを示した何よりの証であった。

 

 私は微力ながら、これからも杖道の伝道者として、会員と共に普及に努めて行こうと思う。


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