制定技

全日本剣道連盟杖道制定形(以下、全剣連杖道)は、財団法人 全日本剣道連盟により定められた現代武道のひとつです。古流武術の一流派である神道夢想流杖術をベースに、古流の棒杖術を伝えるどの流派にも公平公正を旨として、昭和43年に、杖道形(基本形12本、形12本)が制定されました。

  

基本形(12本)

  1.本手打(ほんてうち)

  2.逆手打(ぎゃくてうち)

  3.引落打(ひきおとしうち)

  4.返突(かえしづき)

  5.逆手突(ぎゃくてづき)

  6.巻落(まきおとし)

  7.繰付(くりつけ)

  8.繰放(くりはなし)

  9.体当(たいあたり)

 10.突外打(つきはずしうち)

 11.胴払打(どうばらいうち)

 12.体外打(たいはずしうち)

 

形(12本)

  1.着杖(つきづえ)

  2.水月(すいげつ)

  3.引提げ(ひっさげ)

  4.斜面(しゃめん)

  5.左貫(さかん)

  6.物見(ものみ)

  7.霞(かすみ)

  8.太刀落(たちおとし)

  9.雷打(らいうち)

 10.正眼(せいがん)

 11.乱留(みだれどめ)

 12.乱合(らんあい)

 

神道夢想流杖術技(古流技)

全剣連杖道の母体となった神道夢想流杖術は、今から400年余り前、宮本武蔵とほぼ同時代を生きた夢想権之助を流祖とし、"太刀" 対 "杖"の64本の杖術形と12本の剣術形が伝承されてきました。また併伝武術として、内田流短杖術、一角流十手術、一心流鎖鎌術、一達流縄術などが伝えられています。

 

<64本の杖術形>

表(12本)

 基本技を修練することを目的とし、12本の形で構成されている。

 ・太刀落(たちおとし)

 ・鍔割(つばわり)

 ・着杖(つきづえ)

 ・引提(ひっさげ)

 ・左貫(さかん)

 ・右貫(うかん)

 ・霞(かすみ)

 ・物見(ものみ)

 ・笠之下(かさのした)

 ・一禮(いちれい)

 ・寝屋之内(ねやのうち)

 ・細道 (ほそみち)

 

中段(13本)

 表技を修め、その基礎の上に立って懸る形である。

 動きが激しくスピードも要求される。

 ・一刀(いっとう)

 ・押詰(おしづめ)

 ・乱留(みだれどめ)

 ・後杖(前、後)(うしろつえ まえ、あと)

 ・待車(たいしゃ)

 ・間込(けんごめ)

 ・切縣(きりかけ)

 ・真進(しんしん)

 ・雷打(らいうち)

 ・横切留(よこぎりどめ)

 ・払留(はらいどめ)

 ・清眼(せいがん)

 

乱合(2本)

 表、中段の技を総合した形で手数も多くスピードも要求される。

 ・大太刀(おおだち)

 ・小太刀(こだち)

 

影(14本)

 心の修練を目的とし、表技と同名の12本で構成されている。

 ・太刀落(たちおとし)

 ・鍔割(つばわり)

 ・着杖(つきづえ)

 ・引提(ひっさげ)

 ・左貫(さかん)

 ・右貫(うかん)

 ・霞(かすみ)

 ・物見(ものみ)

 ・笠之下(かさのした)

 ・一禮(前、後)(いちれい まえ、あと)

 ・寝屋之内(前、後)(ねやのうち まえ、あと)

 ・細道(ほそみち)

 

五月雨(6本)

 5本の組形で構成され、心、技、体の完全一致しなければできない高度な形である。

 ・一文字(いちもんじ)

 ・十文字(じゅうもんじ)

 ・小太刀落(こだちおとし)

 ・微塵(表、裏)(みじん おもて、うら)

 ・眼潰(がんつぶし)

 

(仕合口)(12本)

 長年の修行を終え、心、技、体とも卓越された人格者のみに伝授される形である。

 ・先勝(せんがち)

 ・引捨(ひきすて)

 ・小手搦(こてがらみ)

 ・十手(じって)

 ・打分(うちわけ)

 ・水月(すいげつ)

 ・左右留(さゆうどめ)

 ・小手留(こてどめ)

 ・突出(つきだし)

 ・打附(うちつけ)

 ・見替(みかえり)

 ・阿吽(あうん)

 

極意(五夢想)(5本)

 人格、見識、指導能力等が十分に完成したものに対してのみ伝授される形である。

 ・闇打(やみうち)

 ・夢枕(ゆめまくら)

 ・村雲(むらくも)

 ・稲妻(いなずま)

 ・導母(どうぼ)

 

 

なお、上記64本の杖術形以外に、第26代宗家 清水隆次先生が考案された練習形が『五本の乱』として追加されており、実際は69本の杖術形となっております。

 

五本の乱(5本)

 表、中段、影を総合し、乱合を発展させた中級者の修行を目的とした形である。

 ・太刀落の乱(たちおとしのみだれ)

 ・左貫の乱(さかんのみだれ)

 ・間込の乱(けんごめのみだれ)

 ・霞の乱(かすみのみだれ)

 ・斜面の乱(しゃめんのみだれ)